「進学後に違う分野の勉強をしたいと思った」という悩みを抱えている大学生はいるでしょう。また、「大学に入ってからやりたいことが変わったらどうするの?」と不安に感じている高校生もいるかもしれません。ここでは、そんな人に向けて「転部」と「転科」という制度を紹介します。転部・転科は、進学後に学部や学科を変更できる制度です。各大学で制度の内容が異なるため、ここでは一般的な例を紹介していきます。
大学における転部とは、所属している学部を移ることを指します。例えば、文学部→教育学部に移るなどです。これに対して、転科は所属している学科を移ることを指します。例えば、文学部の日本文学科→文学部の英文学科に移るなどです。つまり、転部をした際には、同時に学科も移ることになるので、正確には転部転科となるわけです。すべての大学で転部・転科の制度を設けているわけではありませんので注意が必要です。また、基本的に1年生→2年生に進級するタイミングでおこなわれるケースがほとんどです。このほか、夜間部を設置している場合、転籍という制度がある大学も珍しくありません。これは、夜間→昼間部に籍を移すことを指します。
転部には「進級転部」と「留年転部」があります。前述のとおり、基本的に1年生→2年生に進級するタイミング(もしくは2年生→3年生に進級するタイミング)で転部・転科はおこないます。1・2年生で履修状況に問題がなければそのまま、新しい学部・学科の次の学年に進級できます。ただし、基本科目で単位取得が足りない場合などは新しい学部・学科でも留年する必要があるのです。
ここまでの解説で転部と転科についてはお分かり頂けたかと思います。それでは転部・転科を考えている人の中で今までとは大きく異なる学部・学科への移ることを希望している場合はどうなるのでしょうか?
例えば、「文系から理系に転部・転科したい」といったケースです。このようなケースを「文転(理系→文系)」、「理転(文系→理系)」と呼びます。もちろん文転・理転も可能ではあります。しかし、就職活動の際に面接官にネガティブな印象を与える可能性があるかもしれません。例えば、「2年生から3年生に進級する際に文転した」と聞いたらどのような印象を受けるでしょうか。もちろん、文系に興味が移ったと考える面接官もいるでしょう。しかし、「理系の成績が悪かったから文系へ移った」と判断する面接官も少なからずいるでしょう。つまり、文転・理転がマイナスの印象を与えてしまう可能性もゼロではないということです。もし文転・理転を希望するのであれば、そのことによって得た経験やメリットなどのエピソードを用意しておくとよいでしょう。
以上のことを踏まえたうえで転部・転科も選択肢の1つとして考えてみるとよいでしょう。進学後に学びたいことが変わることは決してマイナスなことではありません。大事なことは前向きに勉強に取り組める環境を自分自身で見つけ出すことなのです。