大学の説明会や、大学のホームページで「シラバス」という言葉を目にしたり耳にしたりしたことがあるかもしれません。しかし「シラバスって何?」とその意味がよくわからない人もいるでしょう。シラバスの意味や役割、その使い方について詳しく見ていきましょう。
シラバスとは、講義要項のことです。担当教授が1年間、あるいは半年間の授業計画を、学生に伝えるためのものです。講義名、講義内容、年間スケジュール、担当教授の名前、授業のねらいや目標、授業の形式、必要な教科書・参考書、評価方法、開講学年(その授業を受けることができる学年)などの授業に関する情報が書かれています。冊子の形で配られることもありますが、最近では、大学のホームページや学生用のマイページで閲覧できるようになっているところもあります。
シラバスは、担当教授と学生との間に交わされる契約書のようなものです。担当教授はシラバスに書かれていることに従って、授業を進める義務があります。一方、学生はシラバスを読んで受講を決めているわけですから、シラバスにある注意事項や約束事項を守る責任があります。課題提出するように明記されているのに、課題をサボってしまったら、単位を落とされてしまうかもしれません。大学の授業は自由に選択ができますが、選んだからには守らなければならないことも発生するというわけです。同時に、担当教授もいい加減な授業ができないようになっています。お互いが有意義に授業に臨むための契約書として、シラバスは機能しているのです。
シラバスには、授業のねらいや目標が記されています。授業を通して、どんな知識や能力を身につけられるのか、学生が迷わないように到達目標が設定されているわけです。授業を受けている中で、目的を見失わないために重要な機能を果たしています。中には、授業計画の部分に、1回ごとの目標や課題について書かれている場合があり、学生がいつ何をすればよいのか把握できるため、ほかの授業との兼ね合いも考えながら計画的にスケジュールを組むことができます。
シラバスは、基本的に担当教授が書くものです。そのため、授業によってシラバスの内容にはバラつきがあります。細かく課題やスケジュールを設定している教授もいれば、基本情報以外は書かない教授もいます。教授ごとの性格がシラバスに表れているのです。細かく指導してくれる教授なのか、自分のペースで授業を進める教授なのかなど、担当教授のイメージをつかむのに役立ちます。
同時に、講義形式なのか討論形式なのか、あるいはディスカッションがあるのかなど、授業がどのように進められるのかが示されていますので、授業のイメージをつかむことも可能です。
通常、シラバスには授業に必要な教科書や参考書が明記されています。それだけでなく、事前に読んでおくべきものまで書かれていることもあります。教授によっては、教科書を読んできた前提で授業を進める場合もあるので、シラバスをよく読んで準備しておくことは重要です。シラバスには書籍の入手方法が記されているので、開講前に教科書や参考書をそろえることができます。
また、その授業と一緒に受講すべきほかの授業が明記されていることもあります。複数の授業を受けることによって、体系的に知識や技能を身につけられるように、授業計画を組んでいる場合があるのです。
シラバスを読めば、その授業の評価方法を知ることができます。評価方法は授業によって様々です。中学や高校のように、一問一答形式のテストで評価するものや、記述式のテストで評価するもの、テストをせずに提出されたレポートで成績を出すものがあります。これらの評価方法については、必ずシラバスに記載されています。中には、「レポート30%、テスト50%、授業態度20%」というように、複数の評価基準を明記しているものもあります。単位の取得に関わってくる大切な部分ですから、注意深く読んでおきましょう。
すでに紹介したように、最近ではホームページ上にシラバスを公開している大学も増えてきました。受験生は試しに、自分の気になる分野のシラバスを検索してみるとよいでしょう。キーワードを入力すれば、そのワードに関連する授業が一覧で表示されます。志望校でどんな授業が行われているのか知ることができるので、ぜひ試してみてください。
シラバスは講義要項として、スケジュールから評価方法まで授業に関する様々な情報を網羅しています。学生になってから利用するのはもちろん、受験生の皆さんも志望校を知るためにシラバスを一度読んでみましょう。